レゴ暦1391年7月21日 午後11時

宇宙 イゼルローン宇宙要塞

宇宙艦隊司令長官「・・・・地上の戦況はどうなっておるのじゃ?」
副官「はっ!敵部隊はハンプシャー諸島に上陸した模様です。」
宇宙艦隊司令長官「そうか・・・・。」
副官「閣下・・・・何がご心配な点があるのでしょうか?」
初老の宇宙艦隊司令長官は立派に伸びた顎鬚を触りながらこう答えた。
「そうじゃ・・・・実はのぉ、ハンプシャー諸島にはわしの妻がいるのじゃが・・・彼女が心配での・・・・。」
副官「司令長官閣下の奥様と言われますと・・・・。カテリーナ・ツァオ退役中将閣下の事でしょうか?」
「うむ。」
副官はカテリーナ・ツァオ退役中将について思考した

レゴリス戦記 黙示録1391 第3話 「ハンプシャーの悲劇」

カテリーナ・ツァオ退役中将・・・・旧姓バクシン。20代にしてその戦略眼を買われて異例の昇級人事により、
大佐となり宇宙艦隊司令部の総参謀長に就任する。
レゴ暦1350年11月24日、当時の宇宙艦隊司令長官と共にシヴァ宇宙要塞への視察を行うも、
シヴァ宇宙要塞を占拠した旧LEGO第4帝国(現ブルーコスモス帝国)によって司令長官共々捕まる。
だがその後単身シヴァ宇宙要塞より脱出。その直後試製超光速航行装置が作動しシヴァ宇宙要塞は行方不明となった。
その後本国に帰還したものの「何故司令長官閣下を御連れなさらなかった」などと軍内外から批判された。
その後昇進するも閑職に左遷され誹謗中傷に耐え切れなくなったカテリーナは軍を退役。最終階級は中将だった。
今現在はハンプシャー諸島に属するテオリス島に住んでいる。
トウエイ・ツァオ元帥閣下との出会いの時期は総参謀長になった頃とされている。宇宙軍内ではおしどり夫婦と呼ばれていた。

副官「ツァオ退役中将閣下でしたら大丈夫でしょう。今頃は軍指定のシェルターなどに避難しておりますでしょうし・・・・。」
「・・・・。そうじゃな。そう思ったほうが良いに決まっておるしな。」
副官は頷いた。その直後、宇宙艦隊司令長官が何か呟いたように見えたが、副官には聞こえなかった。

レゴ暦1391年7月22日 午前2時頃

ハンプシャー諸島 テオリス島

第39避難シェルター

第39避難シェルターには民間人約350人が避難していた。その中にはカテリーナ・ツァオ退役中将もいた。

子供「おばぁちゃん。怖いよぉ」
ツァオ夫妻の孫は涙目になりながら恐怖を訴えた。それもそうだ。
この地下にある避難シェルターの上では戦闘が起こり、銃弾や砲弾の着弾音などが響いて来ているからだ。
「大丈夫よ。軍人さんたちが守ってくれるからね」
とツァオ退役中将が自分の孫をなだめる言葉を喋った直後、突如シェルター内が火の海と化し、
体中に走る痛みと熱さに苛まれながら彼女らの意識は途絶えた。

同日 午前1時頃

ハンプシャー諸島南東5km地点

ブルーコスモス帝国レゴリス遠征軍艦隊

海兵隊司令「何?避難シェルターを潰すのに火炎放射器を使いたい?」
海兵隊第13師団司令部「はっ。一々中に入って民間人どもを‘‘処理,,するのには手間が掛かります。しかし、火炎放射器を使えば中に入らずとも民間人の‘‘処理,,が可能です。ご決断を」
海兵隊司令「ふむ。実に良い提案だ。是非とも使いたまえ。」

・・・・・この後、海兵隊は避難シェルターを見つける度、火炎放射器によって避難していた民間人らを焼き殺したという。これが後に「ハンプシャーの悲劇」とも呼ばれるブルーコスモス帝國軍による住民の虐殺である。

つづく